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奈良地方裁判所 昭和56年(わ)223号 判決

本店所在地

奈良県生駒市小瀬町五九八番地

生駒生コンクリート株式会社

代表者代表取締役

中辻史朗

本籍・住居

奈良県生駒市小瀬町五九八番地

会社役員

中辻史朗

昭和一六年一一月二〇日生

出席検察官

宮下準二

主文

被告人生駒生コンクリート株式会社を罰金一、六〇〇万円に処する。

被告人中辻史朗を懲役一年六月に処する。

被告人中辻史朗に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人生駒生コンクリート株式会社は肩書地に本店を置き、生コンクリートの製造販売業等を営むもの、被告人中辻史朗は右会社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人中辻は被告人会社の業務に関し、その所得を秘匿して法人税を免れようと企て、

第一  昭和五二年六月一日から同五三年五月三一日までの事業年度における所得金額は三、六八六万五、二〇二円で、これに対する法人税額は一、三七七万四〇〇円であるのに拘らず、公表経理上、売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名定期預金等として留保するなどの不正手段により右所得金額のうち三、四四一万七、九七三円を秘匿し、同五三年七月二八日奈良市登大路町八一番地奈良税務署において、同署長に対し、所得金額が二四四万七、二二九円でこれに対する法人税額は五四万九、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額との差額一、三二二万九〇〇円をほ脱し、

第二  同五三年六月一日から同五四年五月三一日までの事業年度における所得金額は一億四七〇万三、四六七円で、これに対する法人税額は四、〇八二万八、一〇〇円であるのに拘らず、公表経理上、売上の一部を除外する外、架空仕入を計上し、よって得た資金を仮名定期預金等として留保するなどの不正手段により、右所得金額のうち九、〇四八万一、六一八円を秘匿し、同五四年七月三〇日前記奈良税務署において、同署長に対し、所得金額が一、四二二万一、八四九円でこれに対する法人税額は四六三万五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額との差額三、六一九万二、八〇〇円をほ脱し、

第三  同五四年六月一日から同五五年五月三一日までの事業年度における所得金額は八、九七三万一、二八九円でこれに対する法人税額は三、四七三万四、五〇〇円であるのに拘らず、前年度と同様の手段により、右所得金額のうち八、〇〇八万六、〇二〇円を秘匿し、同五五年七月三〇日前記奈良税務署において、同署長に対し、所得金額が九六四万五、二六九円でこれに対する法人税額は二七〇万一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額との差額三、二〇三万四、四〇〇円をほ脱し

たものである。

(誠拠の標目)

判示各事実を通じ

一、被告人中辻の当公判廷における供述

一、同人の検察官に対する供述調書

一、同人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

(但し昭和五六年六月一日付は除く)

一、同人作成の各確認書

(但し同五六年四月三〇日付を除く)

一、同人作成の上申書

一、鈴木健、中辻静の各検察官に対する供述調書

一、高橋成和、森継禎次、鈴木健、中辻静の各大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、高橋成和、寺内昌克、久保田守、須賀英雄各作成の各供述書

一、神谷育男、小林宏、野崎広一、米澤弘文、杉本文雄、安出好弘、綛谷清治、小倉好一、加藤邦彦、堀井弘、浦崎義行、宇田川弘、藤田嘉彦各作成の各確認書

一、大蔵事務官長岡洋、同糸見紘夫、同長岡洋、阿部正幸、同高橋孜、同長岡洋・菊地和夫、同大塚正己、同阿部正幸各作成の各査察官調査書

(但し長岡洋作成の同五六年四月一四日付、高橋孜作成の同年四月二三日付(二通)、五月一二日付、阿部正幸作成の同年五月二九日付調査書は除く)

一、同阿部正幸作成の査察官報告書

一、同関谷真一、同芦田修各作成の現金預金有価証券等現在高確認書

一、同笹谷昇、同長岡洋各作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、但馬銀行新井支店作成の送受金の照会についての回答書

判示前段につき

一、商業登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官鴨脚秀明作成の証明書

(昭和五三年七月二八日申告の証明書)

一、同長岡洋作成の脱税額計算書、同説明資料(自同五二年六月一日至同五三年五月三一日)

一、高畑義郎作成の生駒生コンクリート株式会社の照会に対する回答書

判示第二、第三の事実につき

一、柴田真夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官高橋孜作成の同五六年四月二三日付(検察官請求証拠等関係カード二四)、同阿部正幸作成の同年五月二九日付各査察官調査書

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官鴨脚秀明作成の証明書

(昭和五四年七月三〇日申告の確定申告書)

一、同長岡洋作成の脱税額計算書、同説明資料(自同五三年六月一日至同五四年五月三一日)

一、李鎮玉の大蔵事務官に対する質問てん末書

判示第三の事実につき

一、被告人中辻の大蔵事務官に対する同五六年六月一日付質問てん末書

一、同人作成の右同年四月三〇日付確認書

一、海津邦治作成の供述書及び確認書

一、大蔵事務官高橋孜作成の同五六年四月二三日付(前同二五)、五月一二日付、同長岡洋作成の同年四月一四日付各査察官調査書

一、同鴨脚秀明作成の証明書

(同五五年七月三〇日申告の確定申告書)

一、同長岡洋作成の脱税額計算書、同説明資料(自同五四年六月一日至同五五年五月三一日)

(適条)

一、被告人中辻に対し

1判示各事実につき

昭和五六年法律第五四号附則五条により同法による改正前の法人税法一五九条(懲役刑選択)

2併合罪の加重につき

刑法四五条前段、四七条、一〇条

(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重する)

3刑の執行猶予につき

刑法二五条一項

二、被告人会社につき

1判示各事実につき

前同法人税法一五九条一、二項、一六四条

2併合罪の加重につき

刑法四五条前段、四八条二項

(裁判官 菅納一郎)

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